1日目に山口県岩国市と広島県廿日市市、2日目に広島県の大竹市、広島市、安芸郡海田(かいた)町を訪ねます。
大竹市にある2023年開館の「下瀬美術館」は2024年、ユネスコによる建築賞ベルサイユ賞で第1回「世界で最も美しい美術館」に選ばれました。世界的に活躍する建築家、坂(ばん)茂氏が「アートでアートを観る」をコンセプトに設計。館の前に広がる瀬戸内海の多島美を表現しました。人工の池に浮かぶカラフルな可動展示室は、水の浮力や造船技術を利用して展覧会ごとに移動させることができ、世界初の「動かせる美術館」でもあります。アールヌーボーの工芸家で植物学者でもあったエミール・ガレが愛した草花を植えた「エミール・ガレの庭」や、厳島、江田島などの多島美と館の建築美を展望できる「望洋テラス」もあり、館全体が美しい作品になっています。
廿日市市の庭園の宿「石亭」は2024年、米国の日本庭園専門誌のランキングで「足立美術館」、「桂離宮」などに続く4位に選ばれました。瀬戸内海と厳島を望む傾斜地に松や池、季節の花が美しい回遊式庭園があります。庭園鑑賞の後、懐石コースの夕食をお楽しみください。
江戸時代に、岩国藩吉川(きっかわ)家の城下町だった岩国市。古い町並みから錦帯橋を渡ると、藩主居館や武家屋敷、寺院の跡が吉香(きっこう)公園、紅葉谷公園という広い公園になっています。園内の「錦雲閣」(登録有形文化財)は、明治の建築で江戸時代の櫓風に造られ、風情豊かです。また「永興寺」(ようこうじ)には夢窓疎石の作庭と伝わる枯山水庭園や平成につくられた石庭があります。同市川西町の「宇野千代生家」(登録有形文化財)は大正、昭和、平成に活躍した作家・宇野千代さんが生まれた明治の町家で、カエデや杉苔が美しい庭は、宇野千代さんの意向にそって昭和後期に整備されました。
広島市西区の「海蔵寺」では、江戸の元禄時代に作庭された豪壮な石組みが魅力の「池泉庭園」が、平成になって復元されました。
安芸郡海田町の旧千葉家住宅は江戸中期の商家で、大きな立石のつくばいが目を引く池泉回遊式庭園(広島県指定名勝)があります。