毎日山の旅レポート 2020年03月04日 村野匡佑
関西/奈良の山ステップ①二上山(2020)
昨年多くの方にご参加いただいた『富士登山塾2019』が、今年も『富士登山塾2020』として始まりました。
この『富士登山塾』は登山初心者・初級者のために、低山の日帰り登山から山小屋泊や3000m級の山々を登り、ステップアップしながら登山に必要な体力・知識・経験を身に付けてもらい、8月の富士山登頂を目指すという講座です。
麓から見た二上山・雄岳(右)
今年の第1回目は、昨年と同じ二上山。雌岳(474m)と雄岳(517m)の双耳峰になっており、古くは神聖な山として崇められ、飛鳥時代には麓の竹内街道が大阪と飛鳥を結ぶ交通の要所になったりと歴史のある山です。登山口に近い広場で、今日登る山・ルートの説明と、登山塾の初回なので服装、靴の履き方・紐の結び方、ザックの背負い方など丁寧に説明させてもらいました。髙山宗規・登山ガイドの説明を、参加者のみなさんは熱心に聞かれていました。
髙山ガイドと一緒に靴紐を結ぶ参加者
一通り説明が終わり、広場から舗装路を少し歩いて、いよいよ登山道に入ります。登山道に入る前に「登山では小股で小刻みに歩いて下さい」と髙山ガイドがアドバイス。足を大きく開いて歩いたり、段差を一気に越えようとするとすぐに足が疲れてしまうからです。
これから登山道を歩きます
一行は髙山ガイドのゆっくりしたペースに合わせて、岩屋峠を越え、二上山・雌岳まで登ります。雌岳の山頂は広い台地になっており、ここで少し早い昼食を取ります。休日ということもあり、親子連れの登山客などで賑わっていました。山頂からの眺めが良く、奈良盆地、葛城・金剛山系、大阪市内が見ることが出来ます。
二上山・雌岳山頂。中央には立派な日時計。
昼食後、雄岳に向けて出発。一旦、鞍部まで下り再び登り返します。3月にしては暖かく、晴れ間もあり薄着でも汗ばむ陽気でしたが、時折吹く風が体を冷やしてくれます。雄岳の山頂には、謀反の疑いで自害させられた天武天皇の子である大津皇子の墓があり、歴史をより感じさせられました。
二上山・雄岳山頂にある大津皇子のお墓
麓のまで下山して、無事ツアーは終了。8月の富士山までは長い道のりになりますが、コツコツと練習することが大事です。登山のトレーニングは、山に登ることが一番のトレーニングとも言われます。平坦なところを歩くより、二上山のような近場の低山でも構わないので、傾斜のあるところを登り降りして脚力をしっかり鍛えましょう。
うつそみの 人にあるわれや 明日よりは 二上山を 弟背とあが見む【大伯皇女】
二上山に咲く椿の花
◎筆者プロフィール◎
村野匡佑(毎日新聞旅行 国内登山担当。1984年生まれ兵庫県出身。公益社団法人日本山岳ガイド協会認定登山ガイドステージⅡ保有)
村野匡佑(毎日新聞旅行 国内登山担当。1984年生まれ兵庫県出身。公益社団法人日本山岳ガイド協会認定登山ガイドステージⅡ保有)