毎日山の旅レポート 2021年07月09日 樺井美緒
長野色とりどりの志賀高原
梅雨の時期ではありますが、見られる花の種類の多い時期に志賀高原のツアーを催行しました。志賀高原といえば、みなさんスキーのイメージが強いと思います。冬のシーズンになれば、今も多くの方が標高1300~2300mにあるスキー場に訪れます。ですが、志賀高原は夏も穴場としておすすめの山域です。スキー場から一歩山の中へ入れば、山の花や原生林が広がっており、湖沼や湿原の景色も楽しむことができます。
赤石山山頂の可憐なヒメイワカガミ
初日に登頂した笠ケ岳は、志賀高原の山の中でも遠くから見て最も「目立つ山」です。日本300名山にも数えられています。天気の良いときは、間近に横手山、遠くに猫岳や浅間山、白馬岳なども見られますが、今回は霧が濃い山頂となりました。ツマトリソウやハクサンシャクナゲなどの花を見ることができました。
二日目・四十八池湿原は花の最盛期!白い花はコバイケイソウ
ユネスコエコパークに登録されている志賀高原の中でも、「核心地域」になっているのが志賀山と四十八池湿原のエリアです。写真の花はコバイケイソウですが、ほかにもヒメシャクナゲやモウセンゴケなどが見られました。霧の中の湿原も幻想的で良いものですね。
赤石山はぬかるみ多くも花の道!真っ赤なサラサドウダン
四十八池から赤石山の道は、ネマガリダケに覆われたぬかるみの多い道で少し苦戦気味・・・でしたが、マイヅルソウやゴゼンタチバナ、アカモノ、ベニサラサドウダン(写真上)が登山道脇を彩っており、花の豊富さを感じながらの登頂になりました。
赤石山山頂
山頂はこの通り、霧の中でした。山頂付近にはヒメイワカガミ(白いイワカガミ)が見られました。
志賀高原・大沼池。青く見える酸性の湖で、志賀高原でもおすすめのスポットです。
笠ヶ岳山頂・本当なら展望の良い山!
3日目は、天気予報により早朝から大雨で、さらにそのまま大雨が続く予報だったので、横手山のリフトが運休となりました。
ですが、9時ごろになって小雨になったので、2日目に見られなかった花を見るため、木戸池から蓮池までの「自然探勝コース」を案内させていただきました。
ですが、9時ごろになって小雨になったので、2日目に見られなかった花を見るため、木戸池から蓮池までの「自然探勝コース」を案内させていただきました。
ニッコウキスゲ(黄色)とヒオウギアヤメ(紫)
スキー場沿いは、ニッコウキスゲの最盛期でした。アヤメやキショウブ、池ではヒツジグサなども咲いていました。この後ビジターセンターに立ち寄って確認したのですが、「この数日で一気に咲いた」とのことです。
横手山に登頂できなかったのは残念ですが、歩行中の雨は天気予報が外れてほとんど降られず、雨上がりの山の花をたくさん見ることができました。
横手山に登頂できなかったのは残念ですが、歩行中の雨は天気予報が外れてほとんど降られず、雨上がりの山の花をたくさん見ることができました。
夜はゲンジボタルも見られました
今回は、ほたる温泉エリアの宿に宿泊しました。タケノコ(ネマガリダケ)を使った料理のほか、夜はゲンジボタルを旅館の近くで見ることができました。お客さんの中には、ホタルを指に停めている方もいらっしゃいました。
登頂する山、展望の良い山も良いですが、花や森林を楽しむ登山も旅の記憶に残るものです。8月や9月も、7月とはまた違う花の景色に変わるので楽しみですね。
◎筆者プロフィール◎
樺井美緒(毎日新聞旅行 国内登山担当。1984年生まれ京都府出身。公益社団法人日本山岳ガイド協会認定登山ガイドステージⅡ)