毎日山の旅日記

毎日新聞旅行

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南アルプス女王が微笑む仙丈ケ岳

4度目の緊急事態宣言がようやく解除され、ツアーを再開する運びになりました。 仙丈ヶ岳は標高3,033mの日本で第17番目の南アルプスを代表する一座です。
仙丈ケ岳の山頂 仙丈ケ岳の山頂
今までお隣の百名山「甲斐駒ヶ岳」と一緒にツアーを組むことが多かったのですが(しかも2座とも日帰りなので超ハード)、たまにはのんびりと仙丈ヶ岳を満喫できるように、頂上直下の仙丈小屋で一泊する行程にしてみました。 出発直前は台風16号の影響も心配されましたが、かろうじて本州から逸れる形になり、ツアーには影響なくホッとしました。初日は南アルプスの玄関口、仙流荘にて宿泊。久々の登山に備えて、早めに寝ます。
土日の早朝はバス待ちの行列 土日の早朝はバス待ちの行列
2日目は北沢峠から大滝ノ頭、小仙丈ヶ岳を越え、仙丈ヶ岳へ登る尾根コースを行きます。
北沢峠で準備 北沢峠で準備
一般に「南アルプスの女王」と呼ばれることもある穏やかな山容の仙丈ヶ岳ですが、序盤は樹林帯の中を歩いていきますが、2合目を越えると足の踏み場を困らせるようなゴロゴロした岩が多く転がり、また所々に出てくる急登を登っていると、とても「女王」という言葉は似つかわしくないなと思わせます。
大滝の頭。ここまで意外と急坂を登る。 大滝の頭。ここまで意外と急坂を登る。
大滝ノ頭を過ぎ、6合目手前で森林限界を越えると視界が広がり、振り返れば文字通り目の前に甲斐駒ヶ岳が姿を表します。 その左右には、鳳凰三山へ続く早川尾根や、そのギザギザの形の様子からそのまま名付けられた鋸岳、奥に南八ヶ岳の山々の頭が見えます。
六合目からの景色。左が甲斐駒ヶ岳、右が栗沢山とアサヨ峰。 六合目からの景色。左が甲斐駒ヶ岳、右が栗沢山とアサヨ峰。
そこからハイマツの急坂を登ると、小仙丈ケ岳へ着きます。ここで北岳、鳳凰三山、甲斐駒ヶ岳を贅沢に眺めながら、お昼休憩を取ります。
白峰三山をおかずに昼食を。 白峰三山をおかずに昼食を。
小仙丈ケ岳からは斜度が緩んだ稜線上を進みます。少しいやらしい岩場を越えて、ゆっくり高度を上げていきます。右手に藪沢カールが姿を現し、その底には今日泊まる仙丈小屋が可愛らしく見えてます。最後に急坂を登り切れば、仙丈ケ岳の山頂に到着です。
山頂直下がまた急坂。最後の力を振り絞って。 山頂直下がまた急坂。最後の力を振り絞って。
360度の大展望です。この夏は緊急事態宣言でせっかくの夏山シーズンもどこにも行けなさそうになりましたが、シーズンの最後の最後になんとか3000m峰の山頂に踏むことができました。
仙丈ケ岳の山頂からの景色。台風一過で雲が晴れる。 仙丈ケ岳の山頂からの景色。台風一過で雲が晴れる。
仙丈小屋はこじんまりとした小さな山小屋ですが、建物は新しく綺麗で、小屋前のテラスでは展望をゆっくり堪能することができます。夕焼けと朝焼けを見れるのは宿泊者だけに許された特権です。日帰りで山に登るのもいいですが、たまにはのんびりと山時間を過ごすもの山の楽しみ方の一つではないでしょうか?また季節を変えてきてみたいですね。
最近、避難小屋だったのを山小屋に建て替えられた仙丈小屋。 最近、避難小屋だったのを山小屋に建て替えられた仙丈小屋。
テラスで優雅なひと時を。 テラスで優雅なひと時を。

◎筆者プロフィール◎
村野匡佑(毎日新聞旅行 国内登山担当。1984年生まれ兵庫県出身。公益社団法人日本山岳ガイド協会認定登山ガイドステージⅡ保有)
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