毎日山の旅日記

毎日新聞旅行

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奈良毎日登山塾ステップ2・大和葛城山

 奈良県御所市と大阪府千早赤阪村との境に、大和葛城山(やまとかつらぎやま、標高959・2㍍)は大らかな山体を横たえている。遠くから見ると、山頂はクジラの背のようにも見える。ツツジの山としても大きな魅力がある。ロープウェイも敷設されており、花の時期になれば大勢の人々が詰めかけて来る。
大和葛城山山頂。赤いポストが印象的だ 大和葛城山山頂。赤いポストが印象的だ
ツツジの季節には早い22年4月16日午前10時ごろ、ロープウェイ山麓駅に25人の男女が集まった。毎日新聞旅行のツアー「富士登山塾ステップ2」につどった面々だ。このツアーは、低山から徐々に高い山に登り、夏には日本一の山・富士山登頂を目指す。参加者の多くが登山初心者だ。
緊張した人々に、高山宗規・登山ガイドが「おはようございます」と元気よく声をかけた。行程などの説明の後、「(配布した)地図を見てください。ロープウェイ駅前の標高は310㍍です。登るのは959㍍の大和葛城山です」「最初は北尾根を登ります」「帰りは櫛羅(くじら)の滝という道を下ります」と説明した。また、「歩き始めると暑くなります」「少し涼しいくらいの服装で歩き始めましょう」と付け加えた。
山中で行程を説明する高山ガイド 山中で行程を説明する高山ガイド
往路の北尾根登山道は、急なとりつきから始まった。高山ガイドはゆっくり歩いてくれるが、それでも急こう配に参加者の息が荒くなる。「ゆっくり歩きますから、呼吸を整えて」と声がかかった。汗も噴き出してくる。「止まると(汗で)とても寒くなります。重ね着するなど調節してください」と具体的な指示が飛んだ。
北尾根をじっくり登る高山ガイドらの一行 北尾根をじっくり登る高山ガイドらの一行
登山道にはスミレの青い花やヘビイチゴの白い花が揺れる。しばらく歩くと、背後を見通せるようになった。「後ろを振り向いてください。奈良盆地です。時々振り向いて深呼吸をお願いします」と語りかけた。後ろ向きになった人々は、絶景に「おおっ」と歓声を上げた。
奈良盆地を振り返る 奈良盆地を振り返る
午後12時39分、一行は広々とした山頂に到着した。「空が広い」「風が気持ちいい」。山頂碑の傍らには、赤い郵便ポストがあった。ライブカメラが山頂の様子を撮影している。カメラに向かって手を挙げる人の姿もあった。「ここで昼食にします」との指示があり、思い思いに弁当を広げ、くつろいだ。よく晴れた山頂からは、近畿地方の最高峰・八経ヶ岳(1915㍍)などの名峰が見えた。
広い山頂と向こうに見えるのは金剛山 広い山頂と向こうに見えるのは金剛山
下山は、櫛羅の道コースをたどった。登山地図にも「道が掘れて滑りやすい」と注意喚起が記されるほどの難路だ。実際歩いてみると、登山道はオーバーユースのために大きく掘られ、泥濘と化していた。尻もちをつけば、泥だらけになるのは確実だ。安全な足の踏み場を探しながら、一歩一歩を丁寧に踏み出す。名所「くじらの滝」のせせらぎが聞こえ、清流を渡ると、山旅も終わる。ロープウェイ山麓駅に戻った。
かなりえぐれている登山道。 かなりえぐれている登山道。
駅前で高山ガイドは「次のステップ3までに、必ずどこかの山に登ってください。ぜひ練習をお願いします」と告げた。女性は「あこがれの富士山にどうしても登りたい。努力します」と意欲を燃やした。【毎日新聞元編集委員、日本山岳ガイド協会認定登山ガイドステージⅡ・小野博宣】
ライブカメラで大阪毎日のガイドたちと記念撮影 ライブカメラで大阪毎日のガイドたちと記念撮影
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〜山記者の目〜プロフィール
【毎日新聞元編集委員、日本山岳ガイド協会認定登山ガイド・小野博宣】
1985年毎日新聞社入社、東京社会部、宇都宮支局長、生活報道部長、東京本社編集委員、東京本社広告局長、大阪本社営業本部長などを歴任。2014年に公益社団法人日本山岳ガイド協会認定登山ガイドステージⅡの資格を取得。毎日新聞社の山岳部「毎日新聞山の会」会長

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