毎日山の旅レポート 2022年11月23日 村野匡佑
映画『人生クライマー 山野井泰史と垂直の世界 完全版』試写会
これまで数々の困難な登山・登攀に挑んできたアルパインクライマー山野井泰史さんについて、過去の映像と今の様子を織り交ぜながら、今までのクライマー人生を追ったドキュメンタリー映画『人生クライマー 山野井泰史と垂直の世界 完全版』を特別に公開前に試写させてもらいました。
『人生クライマー 山野井泰史と垂直の世界 完全版』©TBSテレビ
「山野井泰史」
登山・山登りをしている人なら、一度は耳にしたことのある名前だと思います。
私も登山を始めて10年ぐらい経ちますが、雑誌や登山仲間から名前だけは聞いたことはある程度で、高所で雪崩で流されて手足のほとんどが凍傷になりながら、命からがら帰って来たアルパインクライマーだということぐらいしか知りませんでした。
登山・山登りをしている人なら、一度は耳にしたことのある名前だと思います。
私も登山を始めて10年ぐらい経ちますが、雑誌や登山仲間から名前だけは聞いたことはある程度で、高所で雪崩で流されて手足のほとんどが凍傷になりながら、命からがら帰って来たアルパインクライマーだということぐらいしか知りませんでした。
冬の南アルプスにてトレーニングをする若かりし頃の山野井氏©TBSテレビ
南アルプスにてソロでアイスクライミングする様子©TBSテレビ
山野井さんは10歳で登山に興味を持ち、15歳で社会人山岳会に入会、20歳前後ではフリークライミングに没頭し、20代後半ぐらいからパタゴニアやヒマラヤの高所での『冬季単独初登』などで功績を残すが、37歳でギャチュンカン北壁で下山時に雪崩に遭い、両手足の指に凍傷を負う。
前述のケガ後も登山(クライミング)を続け、いくつものビックウォールにも挑戦し、その功績が称えられ、昨年2021年にピオレドール生涯功労賞(※1)をアジア人として初受賞。
手足の指を失ってもクライミングでは5.12台(※2)を登れるまでになったそうで、多少経験のある私でも5.11台が精一杯なので、そこまで登れるようになるための努力やトレーニングは並大抵な事ではないことがすぐに想像でき、改めてその凄さには驚かされました。
(※1)『登山界のアカデミー賞』と言われる賞。ピオレドール(フランス語で金のピッケル)は前年に行われた優れた登攀(登攀方法、ルート、革新性、環境、考え方などから選考される)に送られる賞。生涯功労賞は、長きにわたりアルパインクライミング界において素晴らしい活躍を見せ、多くのアルピニストたちに多大な影響を与えた人物に贈られる賞のこと
(※2)フリークライミングの難しさを表す単位。5.9、5.10、5.11…と「5.●」の●の数字が大きくなると難しさが増していく。詳細については割愛するが、5.12台を登れる人は上級者の部類。
前述のケガ後も登山(クライミング)を続け、いくつものビックウォールにも挑戦し、その功績が称えられ、昨年2021年にピオレドール生涯功労賞(※1)をアジア人として初受賞。
手足の指を失ってもクライミングでは5.12台(※2)を登れるまでになったそうで、多少経験のある私でも5.11台が精一杯なので、そこまで登れるようになるための努力やトレーニングは並大抵な事ではないことがすぐに想像でき、改めてその凄さには驚かされました。
(※1)『登山界のアカデミー賞』と言われる賞。ピオレドール(フランス語で金のピッケル)は前年に行われた優れた登攀(登攀方法、ルート、革新性、環境、考え方などから選考される)に送られる賞。生涯功労賞は、長きにわたりアルパインクライミング界において素晴らしい活躍を見せ、多くのアルピニストたちに多大な影響を与えた人物に贈られる賞のこと
(※2)フリークライミングの難しさを表す単位。5.9、5.10、5.11…と「5.●」の●の数字が大きくなると難しさが増していく。詳細については割愛するが、5.12台を登れる人は上級者の部類。
八ヶ岳摩利支天大滝でのアイスクライミングの様子©TBSテレビ
人はその道を追い求めると、より困難な、より険しい道に進もうとすることはよくあることで、登山の場合、一般人から見るとただただ危ない、危険な行為と思われることでも、本人たちは至って冷静で、その困難さに対してあらゆる面で用意周到に、かつ現場ではそれまでの経験や知見に基づき、しっかりとリスクを取って行動しているのであって、決して不可能だとか無理だと思いながら、挑んでいるわけではないということがわかります。
マカルー西壁に挑む山野井氏©TBSテレビ
「自分のレベルを把握している。レベル以上のことをすると相手は自然だから死ぬ。」
そこの線引きができているから生き残れるのだと、山野井さんは語ります。
いよいよ「ヒマラヤ最後の課題」と言われるマカルー西壁へ挑みますが、途中に落石に遭い、すぐそこにある目標を目の前にやむなく降りてきた山野井さんの姿には、悔しさのような、壮大な相手に歯が立たない自分の惨めさみたいなのがにじみ出ているように見えました。しかし、そこで無理をしないのが山野井さんが今まで生き残れてきた理由の一つでしょうか。
そこの線引きができているから生き残れるのだと、山野井さんは語ります。
いよいよ「ヒマラヤ最後の課題」と言われるマカルー西壁へ挑みますが、途中に落石に遭い、すぐそこにある目標を目の前にやむなく降りてきた山野井さんの姿には、悔しさのような、壮大な相手に歯が立たない自分の惨めさみたいなのがにじみ出ているように見えました。しかし、そこで無理をしないのが山野井さんが今まで生き残れてきた理由の一つでしょうか。
マカルー西壁から降りてきたクタクタの山野井氏(右)と出迎える妙子さん(左)©TBSテレビ
一流と言われる多くの登山家たちでさえ命を落としてきた山の世界で、山野井さんが生きてこれたのは何なのか。
なぜ「ソロ・単独」にこだわるのか。
極限の世界に生きてきた山野井さんが、自分の登山人生を振り返りながら、その答えを映画の中で語ってくれています。
続きは映画館でご覧ください。
【劇場情報】11月25日(金)よりシネ・リーブル梅田、他にてロードショー
なぜ「ソロ・単独」にこだわるのか。
極限の世界に生きてきた山野井さんが、自分の登山人生を振り返りながら、その答えを映画の中で語ってくれています。
続きは映画館でご覧ください。
【劇場情報】11月25日(金)よりシネ・リーブル梅田、他にてロードショー
家の壁をぶち抜き、奥の部屋でジャミングの練習をする山野井氏©TBSテレビ
◎筆者プロフィール◎
村野匡佑(毎日新聞旅行 国内登山担当。1984年生まれ兵庫県出身。公益社団法人日本山岳ガイド協会認定登山ガイドステージⅡ保有)